Mazda 3 XD試乗

CX-5の12ヶ月点検のついでにディーラーで新型Mazda 3の試乗をさせてもらいました。ちょうどお客さんが少なかったみたいで、たっぷり触らせてもらえました。セールスの方はクルマのウリをたくさんしゃべりたかったみたいでしたが、こっちはさんざん調べていてあんまり説明させてあげられなくて申し訳ありません。というわけで今回は、試乗で感じたことをメモしてみようと思います。

試乗車 

今回試乗したクルマのスペックは以下の通りです。

モデル MAZDA 3 FASTBACK
グレードXD L Package
駆動方式2WD
エンジンSKYACTIV-D 1.8
エンジン最高出力85kW(116PS)/4,000rpm
エンジン最大トルク270N・m(27.5kgf・m)/1,600-2,600rpm
WLTCモード燃費19.8km/L
ボディカラージェットブラックマイカ
タイヤ18インチ(215/45R18)
定価¥2,919,000

エクステリア

リア

このクルマ、とにかくリアがいい。2本出しのマフラー、4つ目のテールランプ、丸みを帯びたリアゲート、テールランプの目の間を通る継ぎ目、極太のCピラー、ものすごい存在感で100点満点です。
セールスの方曰く、グレードが15Sになるとマフラーは1本出しになる、とのこと。個人的にはマフラーは最低2本出しです。そういえば、シャークフィンアンテナがなくなりました。アンテナはリアウィンドウ内に埋め込まれているとのこと。


サイド

次に側面。第6世代以降のマツダ車のドアの開け締め音はどれも(デミオですら)素晴らしいですが、このMazda 3も非常にレベルが高かったです。分厚い板が隙間なくカッチリと収まるかのような感じが素晴らしい(個人的にはCX-5のバフっとした感じの方好きですが)。継ぎ目も鍵穴も見えなくなるよう工夫されたドアノブは見ものです。設計者の執念のようなものすら感じます。あと、そこら中で聞かれるウリ文句の「キャラクターラインのないドアパネル」も綺麗です。写真だと写り込んでいるのが周囲のクルマなのでイマイチですが、それなりの場所に行けばいい味を出してくれそうです。


フロント

エクステリアの最後はフロント。試乗車はボディカラーが黒いのでわかりにくいですが、黒いガーニッシュがただでさえ巨大なグリルを一層巨大に見せてくれます。これってお化粧のアイラインと同じ効果を狙っているんですかね?他のモデルと比べてもグリルの迫力がなかなかのものです。ちなみに、ガーニッシュが黒いのはファストバックだけで、セダンはシルバーです。













インテリア

マツコネ

まず一番気になったのがマツコネ。旧来のものと比べるとレベルアップが甚だしいです。画面幅が広くなり、地図の動きも滑らか、動作も軽快です。マツコネを操作するコマンダーノブの径が大きくなり、ノブの上面でピンチイン(拡大)、ピンチアウト(縮小)、フリックなどの操作ができるようになりました。運転中の安全性を考慮してタッチパネルは廃止されたとのこと。ベストな方向性だと思います。

ここでセールスの方によるアピールタイム。新型のマツコネは起動時間が旧来の約半分(旧来は45秒かかっていたものが20秒くらいに短縮)になった上に、ドアを開けたタイミングで起動を開始するため、操作しようと思ったときにはほぼマツコネは起動を完了している、とのこと。さらに、360°ビューモニターの解像度が向上した、とのことで実際に見せてもらったら、確かにものすごい綺麗になっていました。

Android Autoは試すことができませんでした。残念。


メーター

メーター周りは中央部の液晶パネルがマルチインフォメーションディスプレイになっており、表示内容の切り替えが可能です。メーター周囲にも燃費や道路標識情報が表示されており、情報量は全体的に多めな感じがします。通常はフロントガラス照射型のアクティブ・ドライビング・ディスプレイだけで事足りるのであまり積極的に見ることはありませんが。


インパネ

インパネ周りはとにかくスッキリしています。操作系はエアコンやハザード、シートヒーターなどのスイッチくらいで、その下にDVDの差込口がある程度。あとは小物入れとドリンクホルダーのための空間がたっぷり取られています。なんでこんなにスッキリしているのかと思ったら、シートベルト警告灯などの警告灯類がバックミラー付近に移動されていました。なるほど、普段見る必要のない警告灯は目に入らない場所にまとめちゃえばいいんですね。
ドリンクホルダーが横並びなのも素晴らしい。上位モデルのアテンザは縦並びなのですが、Mazda 3は空間の使い方がとてもうまくて、よく考えられています。


リアシート

リアウィンドウが小さいので包まれている感が強いです。膝前はそんなに余裕があるわけではありませんが、前席のシートにあたることはなく、座り心地も良好です。リアシートは6:4の分割可倒式で、後部座席側にはUSB端子はありません。車格を考えると妥当な線かと思います。

小銭入れ

細かい話ですが、ドライバー右膝あたりに小銭入れがありました。現行のCX-5にはないのに(初代KE型にはある)。ここだけは理想のクルマよりもマーケティングが勝ったのではなかろうか。

サウンド

試乗車はBOSE搭載車でした。音が上から降ってくる不思議な感じ。スピーカーがマツコネのディスプレイ裏の死角とドア上側に埋め込まれているレイアウトのせいですかね。

乗り味

ディーラーの周りの下道を一周走らせてもらいました。10分くらいのコースだったでしょうか。

ハンドル

まず気付いたのが、ハンドルの硬さというか重さ。CX-5と比べると少し重めで遊びも少なめ。といっても重すぎるということはなく、ハンドルを切った分がダイレクトにタイヤに伝わるような気持ちよさと重厚感があります。ガッシリとした機械を操作しているような感覚があって、これだけで気分が高揚します。
セールスの方曰く、ドイツ車みたいな感じかもしれません、とのこと。なるほど。

サスペンションとタイヤ

これもCX-5との比較になってしまうのですが、少し固めで路面の凹凸が比較的ダイレクトに身体に伝わってきます。このダイレクトさが路面の状況を直感的に把握するのに効果的で、とても楽しいです。同乗者の立場でどう感じるかは今回は試せなかったのでよくわかりません。硬さの大きな要因は扁平率45の18インチホイールではないかと思います。
Mazda 3ではリアサスペンションが従来のマルチリンクからトーションビームに変更されていますが、特におかしな感じはなく、比較的フラットな感じでした。ブレーキを踏んだときにSUVのように頭が前後に揺すられる量が少なくて、やっぱり低い車っていいですね。

Gベクタリングコントロールプラス

マツダ車に試乗をすると、セールスの方は必ずこれ系の機能をアピールしてくるのですが、今回もわかりませんでした。だってOFFにできないんだもん、比較できなきゃ効果なんかわかるわけないでしょ。

加速性能

道が空いていたので停止状態から多めにアクセルを踏んでみました。当然、一般道の制限速度の範囲内で。加速感が気持ちよくてしっかりとしたトルクは感じますが、有り余るほどではないです。必要十分+αな感じ。車重と排気量、エンジン型式の違いはありますが、CX-5の25Sと比べてMazda 3 XD 1.8の方が少し余裕があるかな、といったところでしょうか。高速道路でどれくらいの伸びがあるかは実際にやってみないとなんとも言えないところですが、期待は持てそうです。

その他

視界

Aピラーはそれほど太くはなく、前方の視界は良好です。後方の視界は正直狭く、バックミラーに映る小さなリアウィンドウ越しに外界を眺めることになります。極太のCピラーがあるので、左右後方はドアミラーとセンサーに頼らざるを得ません。このあたりはCX-5と似たような感じで、最近のクルマだとこんなもんでしょう。

車内音

十分に静かです。停車していると遠くでディーゼル特有のカラカラ音が聞こえますが、集中して聞かなければわからないレベルです。ラジオでもつけたら全くわからないと思います。ロードノイズはCX-5に比べると多少大きめですが、不快なレベルではありません。
セールスの方曰く、最低地上高が低いので路面に近いぶんどうしても大きめになる、とのこと。

全体的な感想

気持ちよく走ることを最優先にしたことが各所から感じられるクルマです。また、スッキリ感を高めるための細かい工夫が満載されています。場合によっては、アテンザやCX-8など他の上位モデルに迫るような部分もあるので、値段と比べても間違いなくお得な一台かと思います。
ただし、SKYACTIV-X搭載車が2019年10月以降に発売を予定しているので、本格的な比較はこれが出揃ってからでも遅くはないと思います。ヨーロッパ版のスペックは既に公表されているので、現時点でもある程度参考にはなると思いますが。
個人的には、ステーションワゴンがあってもいいんじゃないかと思うのですが、今の世の中そんなに売れないんでしょうね。Mazda 3のレベルが上がりすぎて、ステーションワゴン系で唯一のアテンザはどうしても割高感が出ちゃうんですよね。

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