ハザード時はシーケンシャル点灯をやめた方がよくない?

今回は、ここのところすっかり見慣れてしまったシーケンシャルウィンカーについて思うところを書いてみます。

シーケンシャルウィンカーとは?

いわゆる「流れる」ウィンカーのことで、一直線上に並べたLEDを順に点灯させて行くタイプの方向指示器です。2014年10月の車両保安基準の見直しにより使用を認められたもので、当初は高級車を中心に採用が進んでいましたが、ライトのLED化が進むにつれて、今ではかなり一般的な装備になってきました。

シーケンシャルウィンカーと通常のウィンカーとの違い

点灯パターンが異なるだけと言えばそれだけの話なのですが、シーケンシャルウィンカーは片側を見ただけで車体の左右どちら側が点灯しているのか直感的に判別が付きます。例えば、道路脇に縦列駐車をしている場合などは、前後の車両に遮られてクルマ全体が見えないことがあります。特に夜間、ヘッドライト、スモールライト、テールランプを消灯させた状態でウィンカー(ハザード)だけ点灯させた場合、通常のウィンカーでは左右どちらが点灯しているのか直感的な判断が難しいことがあります。

縦列駐車から抜け出ようとしているのか、単にハザードで停車しているのか

先の縦列駐車の例で話を進めると、シーケンシャルウィンカーも通常のウィンカーも片側の方向指示器が点灯しているのを見ただけでは、そのクルマが縦列駐車から抜け出そうとしているのか、ハザードで停車しているだけなのかはわかりません。抜け出そうとしているのであれば、たいていのドライバーは様子をうかがいつつ徐々にクルマを動かすので、なんとなく察することはできますが、誰もがこういうわかりやすい行動を取ってくれるとは限りません。また、走行車線の速度が大きい場合、下手に動けないこともあります。

ウィンカーとハザードの点灯パターンを分ける

そこで、ウィンカーとハザードの点灯パターンを分け、ウィンカーはシーケンシャル、ハザードは全点灯にするとどうでしょうか。片側のウィンカーを見ただけでハザードなのかウィンカーなのか見分けがつくので上述の問題が解消します。

点灯パターンを分けただけではダメ

しかしながら、点灯パターンを分けるだけでは問題は解決しません。理由は、既にこのルールに則っていないクルマが世の中に出回っていることです。一部のクルマがルールに則っているだけでは100%の判断ができないのです。

車両保安基準を見返してみる

2014年10月に見直された保安基準の改正概要を改めて見返してみると以下のように記載されています。
【改正概要】
○ 自動車の前部又は後部に備える方向指示器(種別 1、1a、1b、2a 又は 2b に限る。)について、一定の要件を満たすものに限り、連鎖式点灯※(シーケンシャル点灯)により点滅することができることとします。
※連鎖式点灯とは、灯火の個々の光源が予め決められた順序で点灯するように配線された接続により点灯することを指す。
車両保安基準では、方向指示器(ウィンカー)は第137条、非常点滅表示灯(ハザード)は第139条で規定されています。第139条第3項第1号には非常点滅表示灯に関して以下のように記載されています。
非常点滅表示灯については、第137条第3項第1号、第2号及び第5号から第7号 137まで並びに第4項(第7号から第 号まで及び第 号を除く )の規定(自動車の 10 13 。両側面に備える方向指示器に係るものを除く )を準用する。
つまり、ハザードにはウィンカーの規定を適用しますよ、ってことですね。ハザードとウィンカーの点灯パターンを変えちゃダメとは書いていないので、基準上は可能なように見えます。願わくば、車両保安基準ではもう一歩進めて、シーケンシャルやるならハザードとウィンカーの点灯パターンを変えることを義務付けてほしかったです。あとはメーカーが頑張るしかなさそうです。



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