Honda e試乗記〜充電・動的評価編〜

前回に引き続き、Honda eの試乗記です。今回は充電・動的評価編です。

このクルマのネガとポジが一番出た部分ではないかと思います。

乗り味

一番わかりやすいポジ要素は加速力です。

ほんの少しアクセルを踏んだだけで、タイムラグなく爆発的に加速するのがとにかく気持ちいい。ほぼ同サイズのガソリン車と比較して約1.5倍ほどもある車重なんて関係なし。アクセルと加速が直結している感覚はエンジン車では味わえない特性でしょう。この感覚を一度味わってしまうと、戻れなくなってしまいそうなくらい魅力的です。最大トルクのスペックを見ると、回転数低めの領域が得意なのかと思いきや、時速80km超えた状態からでも余裕で加速します。

さらに、パドルシフトによる回生ブレーキの強度調整や、重めで遊びの少ないハンドリング、硬めのサスペンションと、完全にスポーツカー志向したクルマです。床下に重量物を配置しているのが功を奏しているのか、山道のコーナーが異常に安定しています。登りはグイグイ引っ張ってくれて、下りはパドルシフトでスピードコントロールでき、思った通りのラインで走ってくれます。最小回転半径が小さいのも好印象です。何度か道を間違えてUターンする機会があったのですが、ちょっと細い道でも気軽に回れます。

ところで、走行時のロードノイズはかなり気になりました。後輪が225mm幅と、この手のクルマとしては相当ぶっといタイヤを履いているせいでしょうか。時速30km以下であれば、エンジン音がしないことにより車内はわりと静かですが、これを超えた速度帯では結構ノイズがあります。

とまあ、いろいろ細かいところは気になりますが、全体的にモーター車のいいところを活かしつつ、エンジン車の感覚を大切した面白いクルマだと感じました。

充電

さて、最大のネガは足の短さ。

今回の行程は池袋から筑波山神社まで往復約200kmほどでした。スペック的には満充電しておけばなんとか走りきれる距離のはずでしたが、結局、充電3回、合計1時間50分を費やしました。車を借りた9時間中約2割は充電していたことになります。

内訳は、以下の通りです。

  • 急速充電が30分間×2回で、それぞれ50%、56%回復
  • 普通充電が50分間×1回で8%回復

急速充電は思ったより回復速度が早かったのが救いでしたが、頻度が高すぎてちょっとつらい。慣れれば残量ギリギリまで攻めることができるのかもしれませんが、高速道路上だと次の充電スポットまで近くても15km先、下手したら30km以上先なので危険すぎます。電欠したら最悪後ろから突っ込まれて大事故か、無事に路側帯に逃げることができてもレッカー代を支払うことになります。

というわけで、安全を見て往復ともに片道100kmのちょうど真ん中あたりに位置する守谷SAで充電タイム。急速充電の1回あたりの最長充電時間の30分間目一杯利用をしました。充電中はトイレや買い物である程度時間を潰しましたが、一人だと正直ヒマなんですよね。さっさと移動したい。でも、次の充電スポットまでできるだけ余裕を持たせたいので、1分でも長く充電していたい。フラストレーションが溜まります。

航続可能距離159kmは無敵モード

普通充電はたまたま立ち寄った日帰り温泉施設に設置されていたので、入浴中に利用させてもらいました。急速充電と比べて回復速度が異常に遅いので、移動中の充電器としてはまるで使い物にならないと思っておきましょう。

青木屋さん、あの日充電させてもらった8%は一瞬で吹っ飛びました

せっかく時間をかけて充電した電気は穴の空いたバケツから水が漏れるがごとく減っていきます。速度を上げるとその傾向は顕著で、時速100km近辺で走っていると数分で3〜4%程度のペースで減っていきます。ガソリン車の感覚からすると恐怖以外の何物でもありません。恐怖に負けたら30分間の休憩タイム。これをアトラクションと考えれば楽しいのかもしれませんが、長距離ドライブでこれを強いられるのはよっぽど余裕がないと難しいです。

今回の充放電の実績は以下の通りです。単純計算で200km走って97%消費でした(電池残量がリニアに減っていたわけではないので、あくまでも単純計算です)。

  • スタート地点:電池残量48%
  • |50km走行
  • 守谷PA:電池残量24%
  • △急速充電30分間:電池残量80%
  • |50km走行
  • 筑波山神社:電池残量49%
  • |4.2km走行
  • 日帰り入浴:電池残量45%
  • ▲普通充電50分間:電池残量53%
  • |50km走行
  • 守谷PA:電池残量32%
  • △急速充電30分間:電池残量82%
  • |50km走行
  • ゴール地点:電池残量57%

ちなみに、筑波山の下り坂で回生ブレーキにより3%ほど電池残量が回復しました!アクセルを踏み込んだら一瞬で消えてなくなりましたが、精神的に少し救われました。

再び一旦まとめ

BEVの一充電走行距離が厳しいことは知識としては知っていましたが、今回のドライブで十分に(嫌というほど)体験できました。正直、このクルマでまた長距離ドライブ(ってたかが200kmですよ。こんなの長距離の部類に入りませんけどね)をやりたいとは思いません。少なくとも今の2倍くらいはバッテリー容量が欲しいところです。でも、10〜20km程度の短距離ドライブであれば、話は変わってきます。車両サイズも小さく小回りが効いて、走りも元気、久々にアガるクルマに出会えました。

その他雑感編に続く。

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