Honda e試乗記〜その他雑感編〜

前回に引き続き、Honda eの試乗記です。今回はその他雑感編ということで一日運転してみて気付いた小さなことを綴ってみます。

内装の材質

静的評価編でも書きましたが、内装がいい感じです。シートは粗い手触りの布地でドアパネルにも似たような素材が使われています。木目調の部分は人工物っぽい感触ですが経年劣化には強そう。よくあるプラスチックっぽい素材は極力抑えめにしてあります。手垢は目立たなさそうですが、汚れた時に簡単に拭き取れるのかはちょっとよくわかりません。とりあえず、明るくて好印象です。



デジタルミラー

デジタルミラーは普通の光学式の鏡比べて視界が狭い印象です。これは、サイドミラーもバックミラーも同じ。もうちょい広角レンズを使ったカメラを使った方がいいんじゃなかろうか。もちろん、後方に車両があるのかどうか確認する目的では十分役に立ちますが。ミラーの向きを調整できないのも地味にストレスを感じます。他にも以下のような点が気になりました。

  • カメラの向きのせいで後ろのクルマのナンバープレートが見切れる
  • モニターの色合いのせいで後ろのクルマの助手席に座っている美人さんがよく見えない
  • 解像度の問題で後ろのクルマが8ナンバー(≒覆面パトカー)か識別できない
まぁ、いずれも致命的ではない小さなことです。


タッチパネルがイマイチ

世の中のほとんどの車はナビやインフォテイメントシステムをタッチパネルで操作すると思います。Honda eもこれと同じなので、このクルマが特別イマイチというわけではないのですが、やっぱり運転中にタッチパネルを操作するのは危険だと思うんですよね。手を伸ばしてからタッチ操作するまで画面を凝視せざるを得ないので。

直感的かつ開発コストを下げるのに有効なことは理解できるのですが、やっぱり運転中というシビアな状況ではディスプレイと入力系は分離して欲しい。コマンダーコントロールでもいいし、タッチパッドでもいい、ボイスコントロールでもいいので。


Android Autoとの連携がもう一歩

Android Autoに対応しているので接続してみました。まあ普通に使えるのですが、以下の点が気になりました。
  • ヘッドライトとGoogle Mapsアプリのナイトモードが連動していない
  • ハンドル上の音声認識ボタンを選択すると、車両側の音声認識システムが起動してしまい、Google Maps側の音声認識機能と連携できていない
いずれも細かいことですが、車両側のシステムとの統合がもう一歩足りていない印象です。

車両側の音声認識システムがちゃんと使い物になる

「OKホンダ」としゃべると車両側の音声認識システムが起動します。自分は試したことはないですが、メルセデス・ベンツの「Hi!メルセデス」と同じアレですね。「OKホンダ、渋谷駅まで行きたい」というと、車載ナビで渋谷駅に目的地を設定してくれました。車両側の音声認識システムでまともに使えるのって初めて見ました。裏の仕組みがどうなっているかわかりませんが、この手の認識ってバックエンドのクラウドサービスで認識するパータンが一般的だと思います(特にスマホ)。車両単体で音声認識しているのだとしたら結構頑張って作ってる感じがします。それか、クルマに通信モジュールでも入っているのかな。これならAndroid Autoいらんやん、って思いました。

ドアを締めたら自動でシステム電源がONになり走行できる

クルマに乗り込んだら自動的にシステムの電源がONになり即走行可能になるのはBEVならではだと思いました。一応、スタートボタンも付いているのですが、押さなくても勝手に起動します。不思議な感じですが、BEVならアクセルを踏まなければ消費電力が小さいので、システムを起動しても問題ないってことなんですかね。エンジン車だと勝手にエンジンがかかるのは確かに問題がありそうです。

パーキングパイロット

このクルマにはパーキングパイロットという駐車を支援する機能がついているんですね。少しだけ試してみました。駐車枠近くでパーキングパイロットボタンを押すと、駐車可能枠の候補をハイライトしてくれるので、タッチパネルで選択すると駐車を開始します。といっても、アクセルとブレーキは自分で操作する必要があります。クルマがやってくれるのはハンドル操作と前後移動の切り替え。最近時々見かけるやつとだいたい一緒です。

最初、SAの駐車場でやろうと思ったのですが、後ろから来るクルマのプレッシャーに負けて結局駐車を諦めてしまいました。人間がやったら一発で枠に収められるところを、いちいち切り返すんだもん。未来チックな機能ですが、個人的にはいらないですね。ただ、精度はバッチリでした。さすが!




ワンペダルドライブ

ワンペダルドライブの機能があったので試してみました。アクセルを離すとブレーキがかかる感覚は慣れなかったですが、使えないことはない、でも、今後も使いたいかというとそうは思えない微妙な機能でした。好きな方を選べるのは悪くないと思いますけど。

一つだけ良くないと思ったのは、ワンペダルドライブの切り替えがセンターコンソールで気軽にできてしまう点。何度か切り替えていると、ブレーキを踏んで止まるのか、アクセルを離して止まるのか迷っちゃうんですよね。あれ、今どっちのペダルに足を置いているんだっけ?って一瞬考えることになります。こんなの事故の元ですよ。この機能は一度設定したら気軽に切り替えることができないようにしておくぐらいの場所に配置した方が良いと思います。

そういえば、システム電源ON時にこの機能はリセットされるんだろうか?リセットされないとしたら、複数人でシェアすると次に乗る時に設定が意図せず切り替わる可能性がありますね。要確認です。

まとめ

三回に渡ってHonda e試乗記を書いてきました。いろいろダメ出しもしちゃいましたが、トータルで見るととても面白いクルマです。よくこんなに攻めたクルマを作れるな、と何度も感心しました。そもそも値段も機能も現実的なクルマを作る気なんてサラサラなかったんだと思います。めちゃくちゃ速くて、小気味よく曲がって、可愛らしくて、今どきの技術や新しい要素をてんこ盛りにしてドヤァ!と見せつけるスタイル好きです。いずれこういうクルマの開発経験を糧にして真に使える超実用的なクルマを開発するんだろうと期待しています。ホンダってそういうメーカーだと思っています。




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