MAZDA3 15S Touring試乗記

MAZDA3 Fastbackを1週間ほど借りる機会があったので試乗記を書いてみます。

極限まで要素が削ぎ落とされたフロントデザイン

スペック

今回借りたMAZDA3のスペックは以下の通りです。全グレードの中で一番非力なエンジンです。スペック的にはカローラスポーツの一番下のグレードとほぼ同じです。
  • グレード:15S Touring
  • エンジン:SKYACTIV-G 1.5 水冷直列4気筒DOHC16バルブ
  • 排気量:1,496cc
  • 最高出力:82kW(111PS)/6,000rpm
  • 最大トルク:146N・m(14.9kgf・m)/3,500rpm
  • 変速機:6速AT
  • 駆動方式:FF
  • WLTCモード燃費:16.6km/L

エクステリア

2018年に公開されてから2年半ほど経過しており、今となっては珍しくもなんともないはずですが、街中で見かけると未だにハッとさせられます。正面から見るとライト周りが集約されており、一見するとウィンカーやフォグランプが無いように見えます。また、巨大なグリルが強調されたレイアウトになっており、普通の車にあるはずの要素が足りない印象があります。この違和感が絶妙なのではないかと思います。ソウルレッドと並んでマツダ肝煎りのカラー「マシーングレープレミアムメタリック」の反射具合いもいい感じです。Webサイト上では良さげに見えるのに、実際に見るとなんかパッとしないクルマはよく見かけるのですが、近所の駐車場でスマホで写真を撮っただけでこの質感の高さはハンパないです。2020年のワールドカーデザインオブザイヤーを取っただけのことはあります。

フロントと比較して存在感のあるリア

Cピラー周りの丸め方が独特な味わい

低グレードモデルでは珍しい2本出しのマフラー

発表された当初はシンプルなドアハンドルの作り込みに唸らされました

インテリア

特筆すべきは、200万円台前半という車両価格のわりに高い質感と装備。某輸入車のようなラグジュアリーな雰囲気はありませんが、ありがちなプラスチック感を極力減らしてソツなくまとめている感じです。同価格帯のクルマで比較したらダントツに高いんじゃないでしょうか。

メーター周りは結構字が細かくて情報量が多めです。慣れないとどこにどんな情報が表示されているのか把握できないくらい。その分ひと目で大抵の情報が見れるのは良さそうです。また、ACCの起動と停止が1つのボタンにまとめられている点は使い勝手が良かったです。うちのCX-5だと、起動と停止ボタンがそれぞれ分けられて左右に並んでいるのですが、たまにしか使わないとどっちがどっちだっけとなるのが避けられます。あと、フロントガラス投影式のアクティブドライビングディスプレイが一番低いグレードから装備されてるんですね。どうなってんだ。

コツコツ言うウインカー音が渋い。同乗者はもっとハッキリと鳴らして欲しいとボヤいていましたが。


エアコンの操作系はとてもシンプルかつ使いやすいです。必要最小限の表示で一通りのことができます。横並びのカップホルダーは、クルマの幅がそんなに大きくないにも関わらずよく考えられたレイアウトだと思います。ナビ操作用のコマンダーコントロールは、上面にタッチパッド機能が追加されています。最初、つい触ってしまって意図しない動きになってしまいましたが、慣れれば使い勝手は良さそうです。1回ハマったのが、音量ボタン長押しによるナビのOFF機能。同乗者が意図せず長押ししてしまって、突然画面が真っ暗になって気付くまで復旧できずに困りました。


車内は天井やシートなど全体的に暗めな中、茶色のシートはアクセントになります。特別感があるわけではないですが、バランスは良いと思います。

運転席からの視界は決して良くはありません。リアウィンドウが小さい上に、ドアミラーも小さく必要最低限です。センサーでサポートするからデザイン優先させてくれ、って感じなのかもしれません。まぁ、特に視界が悪くて困ることはなかったので許容範囲でしょう。

暗めの車内でちょっとしたアクセントになる茶色のシート

ウィンドウは小さめで、特に後席からの景色は小さい

深さはそこそこあるラゲッジ

後部座席を倒すとラゲッジがちゃんとフラットになるのは偉い

新世代のマツコネはディスプレイが横方向にサイズアップしているおかげで、Android Autoを起動すると、マップ画面の横に音楽プレイヤーの画面が表示できました。旧世代のマツコネと比べて、機能的にはジャケ写が表示できる以外違いはありません。そんなことよりも、高さ方向が短いので、結局のところ全体的にマップは小さめです。できれば画面サイズは縦方向に広げてほしいです。


乗り味

正直、パワーは物足りない感があります。低いグレードなのでやむを得ないのですが。感覚的には、首都高のランプで加速しながら合流する際、アクセルをベタ踏みして加速感が頭打ちな感じです。一般道の立体交差の上り坂でも、速度を維持するのにエンジンが唸ります。流れに乗れないほどパワーがないわけではなく、交通ルールの範囲内で普通に運転する分には特に問題はありません。でも、余裕はありません。短距離で速度を上げるのは諦めましょう。

また、CX-5と比べるとハンドルの遊びが少なく若干重めです。視点の低さは一般的な乗用車レベルで、ブレーキやアクセルを踏んだ際に頭が前後に揺すられない安定感は良かったです。やっぱり、姿勢が低くてサスペンションが落ち着いたクルマは良いものです。


燃費は思ったよりも良かったです。首都高を35kmほど走行して20.6km/L。そこそこ良い条件だったとは言え、何も気にせず普通に走ってこれくらい出るなら御の字です。


まとめ

なんだかんだ言ってエンジンパワーが高いのが正義だと思うので、自分が買うなら15S(Touring)は選びません。その上の20Sも試してみたいですね(Xも試してみたい)。一方、うちのCX-5と1〜2年しか年式が違わないはずなのに、操作系が格段に使いやすくなっているのは羨ましいです。低いグレードでも装備や質感のレベルを落とさないあたり、「安かろう悪かろう」のイメージを植え付けないよう気を使っている印象を受けました。めざせプレミアムブランドってところでしょうか。

国産車、輸入車を見回してもお買い得度の高さはクラストップレベルかと思います。

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