カーナビタイムのAndroid Auto対応機能を試してみました

NAVITIME JAPANが提供する「カーナビタイム」のAndroid Auto対応機能を試してみたので使い勝手をメモします。試したのは2021/07/08リリースのVer.5.1.1です。

結論から書くと「現時点では使う理由が見当たらない」の一言で終わるのですが、この手のソフトウェアはバージョンアップにより改善が期待できるので、あくまでも「現時点では」という点は強調しておきたいと思います。

カーナビタイムとは

カーナビタイムはスマートフォン上で動作する高機能なカーナビアプリです。オフラインマップやオービス、渋滞、駐車場などの多彩な情報表示、ドライブレコーダーなどさまざまな機能が搭載されています。基本的にクルマとは接続せずにスマートフォンアプリとして単体で動作し、ダッシュボード上にマウントすることで、スマートフォンがカーナビとして利用できるようになります。

Android Auto対応機能とは

今回試したAndroid Auto対応機能とは、スマートフォンとクルマをUSBケーブルで接続して、車載のディスプレイ上にカーナビタイムを表示するものです。画面が運転中でも扱いやすいレイアウトになる一方、Android Autoの制約の中でしか動作できなくなります。これにより、安全な運転を阻害しないような作りになっています。

使いにくい点

使いにくいと感じた理由を列挙します。書いているとだんだん申し訳なくなってきます。

サイドブレーキをかけないとナビゲーションを操作できない

恐らく運転中の安全を考慮した制限かとは思いますが、サイドブレーキをかけないと目的地設定以降ほとんどすべての操作ができません。音声認識による目的地検索は可能なのに、何故かその目的地が選択できません。検索がOKなら目的地選択ぐらいさせろや、ボタン1回押すだけだろ、と思ってしまいます。この操作制限のポリシーが理解できません。

立ち寄り地点の追加ができない

一度目的地設定をすると、目的地の追加はできません。ルート案内は一旦終了させて新たなルート案内を開始する必要があります。操作が増えて面倒です。

目的地をいちいち検索する必要がある

ナビゲーションアプリで目的地を検索するのは当たり前だろう、と思う方はいらっしゃるかもしれません。もちろん普通のナビゲーションアプリなら目的地検索を行う必要があります。

一方、Googleのナビゲーション機能を利用していると、Google Mapsの検索履歴から目的地の選択ができるので、ナビゲーションアプリで目的地検索をしなくてはいけない場面が激減します。どこかに行こうと思ったとき、(家でゴロゴロしながら)とりあえずGoogle Mapsで場所を調べる人は多いかと思います。この時点で既に検索は完了しているので、あとはクルマに乗って検索履歴から目的地を選択するだけです。

アプリ単体の検索機能が使いやすい、みたいな小さなレベルの話ではなく、スマートフォンにどっぷり使っている人間の行動パターンに自然にハマる仕掛けになっているのがポイントです。ここにサードパーティのナビゲーションアプリが入る余地など1mmもないのです。

設定はスマートフォン上でしか変更できない

残念ながら、地図の向き(進行方向2D/3Dや北向き)や、地図上に表示する情報のON/OFFなど各種設定変更をすべてスマートフォン上で行う必要があります。しかも、Android Auto接続中は設定変更ができません。最低限の機能くらいはAndroid Auto上の操作で完結するようにして欲しいものです。ちょっとした設定変更するのにいちいち車を止めてAndroid Autoを切断するなんてとてもじゃないですがやってられません。

自車位置を中心とした地図表示しかできない

Android Auto版のカーナビタイムは地図の拡大縮小「しか」できません。地図の表示移動ができないのです。「この先の道はどうなっているんだろう」という普通の地図として使えないことを意味します。自車位置を中心とした地図表示はできますが、拡大縮小だけではどうしても限界があります。

ルート案内をしていない標準状態。様々な情報をアイコンで知らせてくれる

ルート案内中の状態。一見するとシンプルで普通のナビゲーションアプリ


地点検索結果。運転中はここから先に進めない

ルートは3択

その他気になったこと

これ以降はダメ出しではないのですが、よくわからなかったことや気になったことをメモします。

謎の「高速一般」ボタン

画面上にある「高速一般」と記載されたボタンを選択すると、ルート案内中かどうかに関わらず、「切り替え対象の道路が見つかりませんでした」みたいなメッセージが表示されます。なんとなく、現在案内中のルートを高速道路優先もしくは一般道優先でリルートしてくれる機能のような気がするのですが、動いた試しがないのでよくわかりません。

謎の「高速一般」ボタン

ナイトモードに対応している

CX-5と接続してクルマのヘッドライトを点灯すると、カーナビタイムの画面がナイトモード(黒っぽい表示)に切り替わります。そう言えば、同じスマートフォンをHonda eに接続したときはナイトモードに切り替わらなかったことを思い出しました。どうやらナイトモードはアプリ側の実装だけでなく、クルマ側の実装も必要になるようです。

ナイトモード

ハイウェイモードに対応していない

日本古来のカーナビ専用機(サイバーナビや、各メーカー標準搭載のナビ)の場合、高速道路走行中は次のサービスエリアやインターチェンジまでの所要時間や距離を表示してくれるハイウェイモードと呼ばれる機能がありますが、カーナビタイムにはこの機能はないようです。このあたりはGoogleのナビゲーションアプリと同じですね。個人的にはハイウェイモードはなくても全然問題ありません。

価格と見合った内容か

カーナビタイムを利用するには月額600円もしくは年額5,700円(いずれも税込)の費用がかかります。スマートフォン単体で動作させるのであれば高機能なのですが、Android Auto対応機能として使う前提だと、上述の通り使いにくいのでわざわざお金を払って利用する気になれません。残念ながら私はこの先使うつもりはないので課金されないようにしてアンインストールしました。

サードパーティ製アプリの限界

更新履歴を見ていると毎週のようにアップデートされているようです。そういう意味では開発元の気合いを感じます。レビューを見ていると、開発元より「Android Autoのナビゲーションのサードパーティーへの公開は現在されておらず、 弊社といたしましても対応したくても対応することができない状態となっております。 今後、公開されることがありましたら最優先で対応したいと思っております。」みたいな返信コメントが付いていました。Android Autoの仕様はGoogleが握っているので、サードパーティがGoogleのナビゲーションを超えるようなものを作れるAPIを公開するはずがありません。永久に実現しないと見るのが妥当でしょうね。

今回の検証を通じて、Googleのナビゲーション機能がいかに実用的で使い勝手が良いかを改めて実感しました。

さいごに

残念ながらカーナビタイムにとってあまり明るい未来は見えませんが、アプリ単体で言えばとても高機能なのは間違いないので、気になる方はぜひ使ってみることをおすすめします。最初のうちは無料で使えるので、ご自身の目で見て納得したら継続利用してみるのが良いと思います。

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