ホンダFIT e:HEV CROSSTAR試乗記

先日のHonda eに引き続き、Honda EveryGoでFIT e:HEV CROSSTARを1日借りる機会があったので試乗記を書いてみます。

アパートの敷地内にひっそり駐車されているFIT

スペック

今回借りたFIT e:HEV CROSSTARのスペックは以下の通りです。
  • グレード:e:HEV CROSSTAR
  • エンジン:アトキンソンサイクル DOHC i-VTEC
    • 排気量:1,496cc
    • 最高出力:72kW(98PS)/5,600〜6,400rpm
    • 最大トルク:127N・m(13.0kgf・m)/4,500〜5,000rpm
  • モーター
    • 最高出力:80kW(109PS)/3,500〜8,000rpm
    • 最大トルク:253N・m(25.8kgf・m)/0〜3,000rpm
  • 変速機:CVT
  • 駆動方式:FF
  • WLTCモード燃費:27.2km/L
見るからにモーター主体のパワートレーンです。特にモーターの最大トルクの太さが目立ちます。燃費もさすがに良いですね。e:HEV初体験ということで期待大です。

エクステリア

ベースとなるFITをSUV風にアレンジしたスタイルはザクIIで言うところのデザートタイプみたいな感じでしょうか。バンパーやフェンダーモール、アンダーモールが黒い樹脂パーツになっており、その分他のモデルと比較して全幅、全長、全高いずれもわずかにサイズアップしています。そういえば、CROSSTARだけ3ナンバーなんですね。

フロントはなんか可愛らしい

このクラスにしてはドアの閉まる音にバタつき感がなく、一つクラスが上のような印象でした。意外。


この個体にはルーフレールとドアバイザーが装備されていた

フロントとは対象的に男前なリア

タイプごとにデザインの異なるホイール。CROSSTARはやおきんのダイヤモンドリングキャンディー


インテリア

乗り込んでまず気付いたのが視界の良さ。全方位ウィンドウが広く運転しやすいです。

ピラーが細くウィンドウが広い

メーター周りはシンプルなデジタル表示のみですが、表示可能な情報の種類が多く、速度や燃費などの他、ナビ、パワートレーンの使用状況、その他何に使うのかわからない表示が多数。カスタマイズもできて、基本的に情報表示はこの画面に集約可能なようです。ハンドル上のジョグダイアル的インターフェイスも使いやすい。1日触ったくらいでは標準的な表示を切り替えて使うのが精一杯でしたが、それでも十分良さを感じることができました。使いこなすと結構便利そうです。

高機能かつちゃんと使えるメーター周りのディスプレイ

ナビやエアコン、シフトレバー周りは一般的なインターフェイスです。ハンドルやドア周り、ダッシュボード含め材質はプラスチックなのも、このクラスのクルマでは一般的。

CROSSTARにはアームレストがない

この手のクルマだと一般的なドアの内張り

とりあえず収納

運転していて一つ気になったのがアクセル背後右側の膨らみが足に当たる点。一見するとアクセル周りの空間が十分にあるのですが、実際運転してみると膨らみに当たってアクセルが踏み込めないことがありました。アクセルペダルの左側を踏むようにすればいいのですが、ドライビングポジション的にはちょっと微妙な気がします。コンパクトカーだから諦めろということなのか。

レイアウト的に厳しいのは理解できるのですが、ほんの数cmでいいから削って欲しい

ナビは良くも悪くも普通。タッチパネルによる操作を強制されるわ、走行中は操作が制限されるわ、といって音声認識ができるわけでもなくAndroid Autoにも対応していない。Bluetooth Audioには対応しているみたいだけど、何故か自分のスマホとはペアリングができず。終始イライラしっぱなしでした。
画面は大きいのに大して重要じゃない情報とボタンで埋め尽くされるナビ

後席は驚くほど広く、膝前、頭上、座面高さいずれもしっかり確保されてい座り心地は良好です。さすがはホンダが作った実用車。

広い後部座席

後席の座面を上げるとコンパクトカーとは思えない高さの空間ができます。一瞬使い勝手が良さそうな気がしたけど、具体的な用途を考えてみたら子供が立って着替えするくらいしか思いつかず。公式サイトには観葉植物の鉢を積載するイメージが掲載されていますが、この積み方で走行したら倒れてしまうので、むしろ座面は上げずに前後のシートで挟んで固定した方がいいんじゃなかろうか、みたいなツッコミはしない方がいいのかな。

何に使うのか教えて欲しい空間

ラゲッジスペースは全長の短いクルマなりの広さですが、底板の下には意外と深いスペースが隠されています。

それなりの広さのラゲッジスペース

後部座席を倒すとフラットになるのは素晴らしい。

これだけフラットなら車中泊もできそう

乗り味

乗る前は期待大だったe:HEVですが、その高い期待を超えて良かったです。

ポジ

  • 低速からの強力な加速が気持ちいい
  • 高速走行中からでも十分加速するできるくらいパワーがあり、頭打ち感がない
  • 惰性走行中のギアの抜け(モーター走行もしくはCVTなので)がなく、前後に揺すられることがない
  • 視界は良好で車幅感覚もつかみやすい

ネガ

  • アクセルを踏み込んだ際にエンジンが唸るタイミングが遅れるのに違和感がある
  • 唸ったときのエンジン音がうるさい
  • 段差を乗り越える際、衝撃は強め

燃費は写真を取り忘れましたが、一般道を30kmほど走って28km/Lは超えていました。カタログ燃費を超えていますし、気にする必要はないでしょう。燃費どうのこうのよりも、走りの元気さを推します。

小さなエンジンルームにエンジンとモーターが収まってもまだ余裕がありそう

まとめ

一番気になっていたe:HEVは期待以上でした。エンジンが唸るタイミングがアクセルの踏みこみよりも遅れるのは気になりましたが、実用上問題になることはなさそうです。それよりも、モーター走行の滑らかさ、十分なパワー、燃費の良さなどなど魅力がたくさんあります。

「コンパクトカーのわりに」という枕詞はつきますが、後席やラゲッジの使い勝手も良く、運転中の視界が良いのも好印象です。内装が安っぽいのが気になるなら別グレードの「LUXE」を選ぶのもありかもしれませんが、値段を考えるとカローラやCX-30みたいなひとつ上のセグメントのモデルが見えてくるので、中途半端かもしれません。

同じセグメントだとヤリスやノート、スイフトも魅力的だし、輸入車だとプジョー208,VWポロ、アウディA1、ルノールーテシア、FIAT500系などが入ってきます。さらに軽自動車を選択肢に入れるとキリがなくなりますね。このクラスのクルマを選ぶのは楽しそうですが、真面目に比較しだすと決められなくなりそうです。


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