カーシェアサービス「Anyca」でクルマを借りてみた

先日、旅行先でカーシェアリングプラットフォーム「Anyca(エニカ)」でメルセデス・ベンツCクラスのC250セダンを借りて、ほぼ高速道路区間の100km弱を走行してきました。クルマ自体の感想は別の機会に譲ることにして、今回はAnycaのサービスについて感じたことをつらつらとメモしてみます。


Anycaとは

Anycaは一般のオーナーが所有するクルマを借りることのできるカーシェアリングプラットフォームです。逆にオーナーの立場から見ると、使っていない間にクルマを貸し出すことで維持費のたしにすることができます。この手のシェアリングサービスを利用する目的はいろいろあると思いますが、個人的には、通常のレンタカーでは提供していない(もしくは、提供数の少ない)であろうクルマ/グレードを借りることができるのが最大の魅力です。

以前からこのサービスのことは知っていましたが、人様の愛車をお借りするというのに抵抗感があってどうも利用する気になれませんでした。トラブルになったときに面倒くさそうだな、と。いきなりネガティブな内容で恐縮ですが、正直なところそう思っていました。

サービス内容と機能

クルマの検索、予約リクエスト、オーナーとドライバーのやり取り、クルマの受け渡し、返却など、すべてのフローをスマートフォン上のアプリを介して行います(受け渡しと返却は対面でのやり取りが必要)。全体的にサービスはわかりやすい構成になっていて、特に気をつかう受け渡し時のドライバー確認や傷確認のための機能があるので、初めてでもほとんど迷うことはありませんでした。また、使い方に関する説明を事前に参照できるので、心の準備もできました。オーナーさんとのやり取りや、待ち合わせはチャットや通話機能が利用できるので便利です(結局チャットだけで事足りましたが)。機能の作り込みからサポート情報の提供まで含め秀逸なインターフェイスだと思います。

クルマの検索は、場所、メーカー、ボディタイプの3種類から探すことができ、各車非常に細かい情報が掲載されています。レビューは特に参考になりました。

保険

保険は、「事故相手への対人賠償:無制限」「自分自身の障害補償:3000万円」といったあたりは一般的なレンタカーと同レベルの内容です。一方、「車両保険復旧費用:300万円」と固定額なのが少し心配です。レンタカーでは車両保険は「車両時価額まで」となっているのが一般的ですが、Anycaでは車両時価が300万円を超える高価なクルマを借りることができるので、もう少し状況に応じて保障は手厚くした方がいいんじゃなかろうかという気がしています。(保険料に跳ね返ってくるんでしょうけど)

また、飛び石や当て逃げなど相手が特定できない状況で保険が効かないのも一般的なレンタカーと同等です。この点も、高価なクルマを借りることのできるAnycaでは要注意かもしれません。当て逃げはどうしようもありませんが、飛び石は高速道路での走行を避けるなどすると多少は対策になるかも知れません。が、利用方法に制限が出てしまうのはちょっと残念な感じがします。

利用料と制限事項

料金は24時間あたりの利用料がベース金額となり、これに保険料と多くの場合燃料費が加わります。加えて、場合によっては走行距離ベースの従量課金が発生するケースがあります。走行距離単価は、クルマの詳細説明文に細かい条件が記載されているので要注意です。高額なクルマなのに利用料が安い場合はたいてい走行距離単価が設定されていると思って間違いないでしょう。このあたり、もう少し利用料が見やすくなっているとありがたいと思います。その他、喫煙やペットなどのよくある制限事項は見やすく整理されています。

ドライバーとして利用してみた感想

Anycaは、個人間カーシェアを提供するサービスであり、クルマの貸し借りはあくまでも個人間のやり取りになります。このため、オーナーの人となりがどうしても気になるところです。今回はとても丁寧で物腰の柔らかなオーナーさんだったのでよかったのですが、対面での受け渡しまではやっぱり緊張していました。

クルマの受け渡しには、本人確認、傷確認、操作方法の説明、返却時の時間と場所の再確認で概ね20分くらいかかりました。このため、受け渡し場所には一定時間停めておけるスペースが必要となります。今回は旅行先での利用だったため、受け渡しに適した場所に詳しくないのと、そもそも旅行先では自由に移動ができないため、細かな受け渡し場所はこちらが移動可能な範囲でオーナーさんに指定してもらいました。

地方では選択できるクルマの種類と数が少ないのも事実です。今回は、ドイツ車に乗るのが目的だったのですが、選択肢はアウディA3とメルセデス・ベンツCクラスの2台のみという状況でした。都心であれば、かなりの選択肢がありますが、地方だと主要都市でも十分とは言えません。

自分がオーナーになるとしたら

自分の場合、クルマを仕事で使っているわけではありませんが、夕方には家族のお迎えで基本的に毎日利用しています。休日は外出で利用することも多く、家族の都合上突発的に利用するケースも多々あります。このため、今の1台をオーナーとして提供するのは非現実的です。2台持ちにして片方をシェア前提で運用する手はあるかと思いますが、受け渡しのための時間を取るのは難しいので、対面での受け渡しを前提とする今の仕組みではどう頑張ってもオーナーになるのは無理かと思います。

さいごに

普段乗ることのできないクルマに乗ることができるという点ではとても魅力的なサービスです。例えば、ディーラーの試乗ではなかなか試すことのできないパワー感やクルーズコントロール、レーンキープなどの細かい機能の使い勝手もたっぷり試すことができます。高速道路や山道、市街地など道路も自由に選択できます。クルマの購入を検討していて、欲しいモデルがある程度絞り込めているのであれば、Anycaで実際に借りて試してみるのはとてもよい方法かもしれません。ディーラーで1日試乗などをやっているのであればそっちで借りた方が気は楽かも知れませんが。

一方、補償額に一部上限が設けられている点や初対面のオーナーとのやり取りが必要になるのは拭いきれない懸念点として残りました。

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