マツダ・ドライビング・アカデミーに参加してきました

9月6日、富士スピードウェイで開催されたマツダ・ドライビング・アカデミーに参加してきました。これまで体験したことのないコンテンツが盛りだくさんで、とにかく楽しかったです。今回参加したベーシッククラスのカリキュラムは次の通りです。
  • 開講式&座学
    • 安全運転の心構え
    • 実技について
    • 人馬一体講座
  • ドライビングポジション講座
  • ブレーキング体験
  • 昼食
  • パイロンスラローム走行&横滑り防止装置体験
    • インストラクター助手席体験
  • 人馬一体試乗会
  • サーキット体験走行
  • 記念撮影&修了式

開講式&座学

安全運転の心構え

はじめは、「(自称)世界一マツダを愛している」寺田陽次郎さんによる「安全運転の心構え」のお話から。マツダ車で事故を起こしてほしくない、という想いのもとインストラクターを努めているこのドライビングアカデミー。事故を起こさないために必要なのは次の点。
  • 緊急事態の早期発見
  • 緊急時にもコントロール可能な正しいドライビングポジション
  • クルマの性能限界を知ること
  • クルマが限界を超えたときの挙動を知ること

カリキュラムでもこれを網羅するようになっている、とのこと。

また、ご自身のル・マン24時間レースでの経験も踏まえ、速くて安全かつ燃費の良い走行はレースでも通常の運転でも基本は同じ。安全や燃費だけではなく、速くメリハリのある運転が重要とのこと。カッコいいマツダ車をスマートに乗りこなしてもらうのも目的の一つだそうです。

人馬一体講座

続いて、マツダの方から「人馬一体講座」と題して、午後から行われる人馬一体試乗会の事前説明とマツダのクルマづくりに対する想い、人馬一体を実現するためのクルマ作りで大切にしていること、ドライバーに求められる運転技術などのお話がありました。

一例として、すべてのマツダ車は、進行方向に対してドライバーが正対できるような運転席のペダルレイアウトを採用しており、疲れにくく、踏み間違いを起こしにくい効果があるという話がありました。この話はさまざまな記事で紹介されているわりと有名な話かと思いますが、実際、デミオやロードスターのようなサイズの小さいクルマから、CX-5やCX-8などの比較的大きなクルマまでペダルレイアウトの写真を並べてみてもほとんど違いがありません。特に、デミオみたいな小さな車でこれを実現するのは大変なんじゃなかろうかと思います。マツダの真面目なクルマづくりへの姿勢が見えてきます。

また、クルマの性能については操作に対する出力特性を一定の割合(リニアな特性)にすることを重視しているとのこと。これにより操作に対するクルマの反応を予想しやすくなり、修正操作を減らすことができ、その結果、同乗者が心地よいと感じられるのに効果があるのだとか。

また、ドライバーに求められる運転技術として重要なのが「すそ野の広がった台形」を意識すること。操作量を急激に変化させるのではなく、なめらかに立ち上がり、一定の操作をキープし、再びなめらかに元に戻す。これにより、同乗者が快適に感じられる走りが実現できるとのこと。これを「人馬一体」と表現しているようです。

最後に、「人馬一体」の走りができているか評価するための機能である「iDM」について紹介がありました。iDMの存在は知っていましたが、正直一度もまともに見たことがないんですよね。今回、大元のクルマに対する思想からモノ作り、さらにはそれを使う人の姿まで話を聞いてみて、マツダが何を考えてクルマを作り込んでいるのかが理解できたような気がします。さらに「iDM虎の巻」なるものがあるとのこと。じっくり読んでみます。



ドライビングポジション講座

いよいよ実技です。まずは実車を使ったドラポジ講座。講師は、人馬一体の運転技術についてはマツダの中でも屈指の方だとか。今回はマツダ3を使って、最も効率の良いドラポジの合わせ方を習いました。以下の手順で調整すると手戻りなく合わせられます。
  1. ハンドルとシートを初期位置に戻す
    • ハンドル
      • チルト角を一番下に傾ける
      • テレスコピックを一番奥に押し込む
    • シート
      • リクライニングを前に倒す
      • 高さを一番下に下げる
      • 足がブレーキペダルに届かないくらい後ろに移動させる
  2. リクライニングの調整
    • お腹がきついくらい前に倒した状態から少しずつ起こして、お腹がギリギリ楽になる位置に戻して固定
  3. シート前後位置の調整
    • 徐々に前に移動させて、足首が苦しくない程度の位置かつ、アクセルとブレーキを素早く切り替えられる位置、フルブレーキした状態でも膝が少し曲がって思いっきり踏み込める位置に固定。
  4. シート高さの調整
    • ボンネットが見える程度の高さに調整
  5. テレスコピックの調整
    • シートに両肩をつけた状態で腕を伸ばし、ハンドルの0時の位置に乗せた際、手首がハンドルに当たる位置までテレスコピックを引き出す
    • これにより、ハンドルを10時10分〜9時15分くらいの位置を持ったときに、肘が110°くらいに曲がっているはず。この位置がベスト。
  6. ハンドルチルト角度の調整
    • メーターがハンドル内径に見える位置までチルト角を上げて固定

実際やってみるとちょっと手間はかかりますが、確かに手戻りなくピタッと合わせられます。これまではシートの前後位置とリクライニングをなんとなく調整するぐらいでしたが、この方法であれば間違いなく合わせられそうです。これは目から鱗モノでした。

ブレーキング体験

いよいよここからは、自分の車を使った実技です。はじめはブレーキング体験。実技内容は、直線をアクセルべた踏みでフル加速して、80〜90km/hまで加速してからフルブレーキを行いABSの動きを体験します。フルブレーキって言葉だけ聞くとそんなに難しそうには思えないのですが、実際やってみるとなかなか難しくて、ほとんどの人はスピードが乗る前にブレーキを踏んでしまいダメ出しを喰らっていました。これからフルブレーキをする前提でアクセルをベタ踏みするのは怖くて、どうしても自制心が働いてしまいます。寺田さんによると、下手にポンピングブレーキをやるよりABSで止めた方が制動距離が短いので、余計なことはせずに、床が抜けるくらい思いっきり踏むのがよい、とのこと。2回目以降はどうにかダメ出しをもらうことはなく「うまくノーズダイブできている」というコメントをいただきました。


ところで、ブレーキングとは関係ありませんが、これまで1つ誤解していたことに気づきました。私のクルマはAT車なのですが、フル加速をするため、マニュアルモードにして自分でギアをコントロールしようと思ったのですが、エンジンが一定の回転数を超えると自動的に1速から2速にギアチェンジするんですね。てっきりマニュアルモードにすれば完全にドライバーの手動制御になるものと勘違いしていました。おそらく、エンジンやギアを保護するための仕組みなのかなという気がします。

昼食

何グループかにわかれ円卓を囲んでお弁当をいただきました。こういうイベントに参加するくらいなので、皆さんクルマ好きなのでしょう、自然とクルマの話題になります。今のクルマを選ぶに至った経緯や普段の使い方など、皆さん環境がそれぞれ違うので楽しく会話させていただきました。

パイロンスラローム走行&横滑り防止装置体験

午後最初の実技はスラロームの走行と横滑り防止装置(DSC/TCS)の体験です。パイロン5つをスラローム走行した後、直径40mくらいの定常円を2周してスタート地点に戻ってくるコースをできる限り速く走ります。スラローム走行はハンドルで曲がるのではなくアクセルワークで曲がるのがポイントという説明を受けますが、タイミングがわかりません。2回走ったところで、インストラクターの助手席に乗せてもらったところ、全然走りが違います。正確無比なハンドリングとアクセルワークで気持ちよくスラロームを回っていきます。その次は、DSC/TCSをOFFにして走ってみましょう、とのこと。やってみると、クルマの制御が一気に難しくなります。ちょっとしたアクセル操作でクルマが意図しない動きになるのを体験できました。最後は再びDSC/TCSをONにしてみると今度はスムーズに走れます。普段ドライブしていてDSC/TCSの効果を感じる機会はそうそうないと思いますが、最近のクルマがいかにテクノロジーで守られているかを実感できました。



人馬一体試乗会

次の実技は午前中に座学で説明のあった人馬一体の走りの実践です。おにぎり型のシンプルなコースでマツダ3に乗り「すそ野の広がった台形」をやってみるという内容。講師はドラポジ講座と同じく人馬一体の走りのプロ。はじめは先生の運転するクルマに同乗し、その技を体験した後で同じことをやってみるのですが難しい。。。アクセルとブレーキ操作はある程度なんとかなるのですが、ハンドリングが異様に難しいです。修正舵なしで連続カーブを抜けるのなんて無理っすよ。先生は毎日普通に何も考えずにできるようになるまでひたすら特訓あるのみ、と言っていましたがマスターするのは相当難しいんじゃないかと思います。

サーキット体験走行

最後はサーキットの体験走行ということで合計3周走りました。あくまでも体験走行なので、先行車のラインきっちりトレースする必要があります。「そんなにスピード出しませんから」と言いつつ直線で120km/h、かなりきつめのカーブでも90km/hを超える速度でついていくのがやっと。横転しそうなぐらいGがかかって怖いです。でも、クルマの限界は先ほどの体験済みなので、思いっきり走ることができました。CX-5みたいな背の高いクルマでも十分にキモチイイ!!



記念撮影&修了式

サーキットを走ったあとはホームストレートにクルマを並べて参加者全員で記念撮影を行い、修了式に移りました。一人ひとり名前を呼ばれ、寺田さんから参加証を授与され終了です。


さいごに

朝早くから初めてのことばかりでずっと緊張しっぱなしでしたが、多くのことを経験することができました。運転免許を取得してから20年以上、運転経験も15年以上あるので、全部知ってる内容だったらどうしよう、とか思っていたのですが杞憂に終わりました。それほど内容が濃くて、日常では体験できないことが満載のイベントでした。

アドバンスクラスというさらにハイレベルなクラスもあるようですが、個人的にはもう一度ベーシッククラスに参加してうまくできなかった実技を練習したいと思っています。うちの家族にも参加させてやりたいです。



おまけ

一人で参加したので、運転中は写真がまったく取れていません。わずかながら撮れた写真を並べておきます。

朝早く到着しすぎて誰もいないピット


早朝、サーキットもまだ誰も走っていません


受付でもらったナンバーカード


実技会場となるP2駐車場に向かう参加者


この辺でやりました

サーキット走行後はタイヤカスがべったり
気付いていなかったのですが、ラインを外して走ってたってことですね

帰りに秦野の温泉に立ち寄りました

コメント