電気自動車を横並びにして比較してみた(2019年版)
最近、メルセデス・ベンツやポルシェなどが電気自動車(BEV=Battery Electric Vehicle)を発売・開発しているという話をちょいちょい聞くようになりました。BEVはガソリン車と違って、モーターと電池が動力源となるため、パワートレーン周りのスペック表がガソリン車とは変わってきます。「スペック表を見てもどうもピンとこない」ということで、自分の中での整理のため、現在発売されているBEVの主要諸元を横並びにして比較してみます。ついでに主要な安全装備と価格も載せています。
比較対象車種
現状、新車の乗用車として購入できるもの、および近い将来発売が予定されているものを一覧表にまとめてみました。各モデルのスペックを把握する目的でグレードは一番低いものと一番高いものを並べてみました。とはいえ、日産とテスラ以外の未発売車は名前とデザインくらいしか情報がありませんが悪しからず。
- 日産 リーフ
- 三菱 iMiEV
- BMW i3
- メルセデス・ベンツ EQC
- ホルクスワーゲン e-ゴルフ
- ジャガー I-PACE
- アウディ e-tron
- ポルシェ タイカン
- プジョー e-208
- テスラ モデルS
- テスラ モデル3
- テスラ モデルX
- テスラ モデルY
比較項目
現状、BEVはガソリン車と比較して充電に時間がかかるため、総電力量(=ガソリン車で言うところの燃料タンク容量に相当)と電力量消費率(=ガソリン車でいうところの燃費)とこれらにより計算される一充電走行距離が重要なスペックになると考えました。さらに、これらの数値で車両価格とオプション価格の合計を割って単価を計算してみました。
比較結果
所感
日産 リーフ
リーフには大きく分けて総電力量(バッテリー容量)が40kWh版と62kWh版があります。62kWh版のe+になると一充電の走行距離(WLTC)が450kmを超えてくる分価格も上昇し、結果的に単価は40kWh版とほぼ同程度となります。とは言え、テスラやジャガー、BMWなどと比べるとこの単価は低く1/2〜1/3程度です。
三菱自動車 iMiEV
今回の対象車種中一番古いモデルです。バッテリー容量(総電力量)が最も小さいわりに価格は意外と高いので、各種単価はリーフの倍程度となってしまいます。さらに、安全装備は皆無と今どきのクルマとしては競争力がないのはやむを得ないのかもしれません。
BMW i3
バッテリー容量(総電力量)はリーフの廉価版と同程度ですが、電力消費率(電費)は上回っているので、一充電走行距離はWLTCモードで360km程度と、リーフの322kmと比べると若干良好です。安全装備はほとんどオプションで、フル装備にしても最近のモデルと比べるとちょっと貧弱な印象があります。安全装備に関しては、2013年の発売以来大きな改良が加えられていないのでやむを得ないかな、というところでしょうか。BEVとしては1グレードしかありませんが、50万円ほど足すとレンジエクステンダー装備車(発電用エンジン装備)という選択肢もあります。
メルセデス・ベンツ EQC
テスラのモデルXと同程度のサイズ感のSUVというのがわかるくらいで、公式情報としてはほとんどスペックが公開されていません。765N・mという強烈なトルクをウリにしていますが、バッテリー容量(総電力量)が80kWhと巨体のわりにちょっと貧弱じゃなかろうかという気もしますが、これ以上情報がないのでなんとも言えないところです。
ホルクスワーゲン e-ゴルフ
リーフの40kWh版とほぼ同時期に発売されたBEVです。リーフよりバッテリー容量が小さく、それに伴い一充電走行距離も下回っています。「あの」ゴルフのEV版と思えば多少リーフより割高でも許容できるというのであれば、値段は特に気にならないかもしれません。個人的にはあまりそそられませんが。
ジャガー I-PACE
圧倒的なパワーや駆動方式がAWDである点、価格帯といったあたりから、競合はモデル3の上位グレードか、モデルSの下位グレードですかね。安全装備も充実していますが、それにしても1千万円オーバーは高い。値段を気にしなければ、BEVの中では最も王道感のあるモデルです。
アウディ e-tron、ポルシェ タイカン、プジョー e-208
いずれも車名とモデルイメージが公開されている程度で細かい情報はほとんど公開されていません。「うちもEVやってますよ!忘れないでね!」的な意味合いで情報を先出ししているだけじゃないかと思います。時が来るのを待ちましょう。
テスラ モデルS
EVといえばテスラ。さすがに一充電走行距離は他を圧倒しています。モデルSに限らず、きっと安全装備はいろいろと装備されているんでしょうけど、もっと上の「自動運転」を目指しているようで、Webサイト上ではあまり細かい機能の説明はありません。一応、比較表の項目に相当するであろう記述を拾い集めて表を埋めてみました。にしても高い。
テスラ モデル3
廉価版テスラ。下位グレードになるとリーフとある程度近い価格帯まで落ちてきて、一充電走行距離は400kmを超えているので、ある程度現実的な選択肢じゃないでしょうか。それにしてもテスラはモデル3に限らず全幅がデカいのが気になります。日本でこのサイズは道路事情や駐車場的にかなり厳しいんじゃなかろうか。
テスラ モデルX
SUV版テスラ。図体がデカイ分電力消費率(電費)が多少悪いんでしょうか、モデルSと比べると一充電走行距離が落ちます。2m超えの全幅、こんなのうちの近所の細い道は走れません。
テスラ モデルY
コンパクトSUV。ほぼイメージしか公開されておらず、一充電走行距離がちょうどリーフと同程度というのがわかるくらいです。サイズ次第では現実的選択肢になるかもしれません。時が経つのを待ちましょう。
さいごに
BEVにまったく興味がないわけではないのですが、充電設備の確保できない機械式駐車場しか利用できない時点でBEVは選択肢から外れます。電気自動車対応の機械式駐車場を導入してくれたら状況はだいぶ変わるとは思いますが、今の駐車場設備は最低でも10年は変わらない予定です。というわけで引っ越しでもしない限りBEVを選択することはないでしょう。また、現状の利用用途を考えるとクルマのスペック的にも、一充電走行距離は最低でも800kmは欲しいところです。こう考えると、自分がBEVを検討するのはまだまだ先の話になりそうです。その頃には老いぼれて免許を返上しているんじゃないでしょうか。
何かの拍子に条件が劇的に変わる可能性もあるとは思うので、引き続きウォッチを続けてみようと思います。
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