CDセグメントセダン対決 〜2輪駆動・ガソリンエンジン編〜

ハッチバックの次はセダンで比較

先日、マツダ3ファストバックを競合車と比較してみようということで、Cセグメントハッチバックの2輪駆動のガソリンエンジンモデルで比較を行ってみました。今回はセダンで比較をしてみます。個人的にはセダンにあまり興味はありませんが。

Volvo S60 R-Design at Launch event

比較対象車種

セダンの場合、C〜Dあたりのセグメントの境目が曖昧です。こちらの記事によると、全長4450mmを超えるものをCDセグメントと呼ぶ一方、Dセグメントには明確な定義はなさそうです。これだと、比較対象車種が絞り込めないので、今回はマツダ3の一つ上のクラスのマツダ6の全長「4865mm」を参考にして、全長4450mm〜4800mmのクルマを比較対象車種としました。

ちなみに、セグメントはサイズだけではなく、そのクルマの販売戦略などにも影響を受けるため、一部Dセグメントでは?というクルマ(例:ジャガーXEなど)も混じっていますがご了承ください。

比較項目

比較項目は前回の記事とほぼ同じで、「サポカー/サポカーS」に相当する安全装備と個人的に最低限必要と思われる快適装備をなるべく多く備えた最も安価なグレードをベースにして、標準でサポートしていない装備はオプション金額を車両本体価格に加えて合計価格を算出しました。その上で、エンジンおよび動力用モーターの出力とトルクの合計値を合計価格で割った「出力単価」「トルク単価」を算出して比較しています。なお、エンジンとモーターの最高出力、最大トルクの合計値自体には物理的な意味はなく、比較のための単なる参考値とお考えください。

さらに、前回のCセグメントハッチバック対決時の比較項目に以下の項目を追加しています。
  • 室内寸法(長さ、幅、高さ)
  • ラゲッジルーム容量(VDA方式)
  • 高速道路渋滞時ハンズオフ走行
  • オートエアコン
室内寸法は前席と後席の空間を対象としたサイズです。ラゲッジルーム容量はVDAと呼ばれる方式の値を掲載しています。また、最近日産やBMWで導入が始まった「高速道路渋滞時ハンズオフ走行」は先進性が高く、差異が現れやすいポイントなため項目に加えました。オートエアコンはアウディA3の一番下のグレードに装備されていないのが気に食わなかったので必須項目にしました。

結果

結果はこちら
マツダ3が「打倒ドイツ車」を達成できているかどうかはなんとも言えないところですが、ハッチバックモデルと同様、ほとんどすべての安全装備を備えた機能性と圧倒的な価格競争力を持った超優秀モデルです。

所感

主にマツダ3との比較という観点で各車ごとに所感をメモしてみます。

BMW3シリーズ

2019年3月にフルモデルチェンジした3シリーズ。国内初となる「高速道路渋滞時ハンズオフ走行機能」がウリですが、価格はマツダ3の約2倍となかなか強気な価格設定です。標準で主要な安全装備がついてくるあたり、いかにも最近のパッケージングです。

メルセデス・ベンツAクラスセダン

つい最近発表になった今回一番新しいモデルです。BMW3シリーズとは対象的に、標準で安全装備はほとんど装着されておらず、オプションで機能を足していく形になります。今回のような条件だと、オプション金額だけで100万円近くになります。選択したA180は一番貧弱なパワートレインで、金さえ積めばさらに強力なものを手に入れることができるあたり、世界のプレミアムブランドならではの味わいです。

メルセデス・ベンツCLAクラス

Aクラスセダンが出たことにより、微妙な立ち位置になってしまった感があります。CLAはまもなくモデルチェンジが予定されているみたいなので、今のタイミングだとわざわざ選択する理由が見当たらない感じがします。

メルセデス・ベンツCクラス

正直、駆動方式以外AクラスやCLAクラスとの差異がよくわかりません。FRにこだわりたい方にはいい選択肢ではないでしょうか。コメント薄くて申し訳ないですが、あまり興味がない。。。

ホルクスワーゲン パサート

今回の比較対象車種中、最も全長の大きなモデルで、ラゲッジルーム容量が他を圧倒しています。ホルクスワーゲンは総じて見た目が地味ですが、安全装備はほぼ標準でフル装備というわかりやすいパッケージングは好感が持てます。欧州車の中では実用性と価格のバランスはトップクラスではないでしょうか?

ボルボS60

海外では2018年6月にトールハンマーモチーフのヘッドライトを装備した3代目にフルモデルチェンジしていますが、残念ながら日本では一つ古い2代目しか手に入らないようです。ただし、発売時期が古いにもかかわらず、安全装備は標準でほぼ揃っているのがさすが世界一安全なボルボです。3代目がめちゃくちゃかっこいいだけに非常に残念です。

アウディ A3セダン

全長4465mmと今回の中ではかなり小さいA3セダン。車両価格はヨーロッパ車の中では安めですが装備系はほとんどオプションなので、合計価格はそれなりの金額になります。一つ上のクラスのA4になると一気に価格が上がってしまい庶民感がなくなりますが、実は出力単価やトルク単価はA4の方が安価だったりします。個人的にはどうせ買うならA4がいいな。。。買えないけど。

アウディ A4セダン

今回一番高額なモデルですが、車格もサイズも他と一回り違う感じがするのでやむを得ないところかもしれません。今回比較対象として入れたのは失敗だったか。装備みたいな細かい話はどうでもいいくらいカッコいい。

プジョー508

508はフルモデルチェンジしてから間もないモデルで、装備系はかなり充実しています。燃費はそこそこで、異様に高額な全方位モニターのオプションを外せば欧州車の中ではリーズナブルなモデルではないかと思います(まぁ、高いけど)。ハッチバック同様、見た目がちょっとクセがある気はしますが、かなり気になるモデルです。

アルファロメオ ジュリア

欲しい。これください。圧倒的な存在感。ステルヴィオもそうですが、最近のアルファロメオは一昔前のモデルと違ってバランスがとてもいいです。標準でほとんどの安全装備は備わっており、燃費もそれなりです。パワーはこのままでも申し分ないですが、後ろに上位グレードのクアドリフォリオが控えていると思うだけでテンションが上ります。

ジャガー XE

このあたりまでくると、マツダ3と真正面から比較なんかしていいんだろうかとちょっと不安になってきます。実際、XEは全長こそマツダ3とほぼ同じですが、全幅は172mmも大きく、エンジンパワー的にも二回りくらい上な感じがします。参考程度に見ていただければと。

レクサス IS

全方位隙のないトヨタ車にも関わらず、ISはペダル踏み間違い時加速抑制装置が備わっていない点や、価格帯から海外のプレミアムブランドを相手にして戦おうとしているのがよくわかります。モデルチェンジで商品性はなんとかキープしていますが、フルモデルチェンジ時期が最古参のモデルの一つなので、いつまでこのモデルで戦うのか気になるところであります。とは言え、出力単価、トルク単価は欧州モデルと比較して圧倒的に良好でマツダ3と同レベルです。

トヨタ アリオン

トヨタ プレミオの兄弟車です。今回の中でフルモデルチェンジ時期が最も古く、最後のマイナーチェンジから3年以上経過しているという放置プレイっぷりです。各社のWebサイトから主要諸元や主要装備データを調べて転記するのは、時には心が折れそうになる作業なのですが、正直言うとアリオンに興味がなさすぎてテンションが落ちて1週間位作業が止まりました。ジャガーXEやレクサスISの後だっただけに余計にそう感じてしまったのかもしれません。トヨタの4チャネル統合の流れの中で、カローラセダンに巻き取られていくんじゃないでしょうか。もはや比較する気もなくてごめんなさい。

トヨタ カローラアクシオ

それなりに備わっている最新の安全装備と安価な価格設定、そしてトヨタならではの圧倒的なハイブリッドモデルの燃費の良さ。ザ大衆車の王道をひた走っているのがカローラです。間もなく発売されるカローラセダンに置き換わっていくのでしょうけど、アクシオも最後まで頑張って走り続けてほしいものです。カローラセダンの日本国内仕様は公式情報としてはまだ発表されていないようなので、発表を待ちたいと思います。

トヨタ プリウス

燃費のお化けです。ほぼフル装備の安全装備。合計価格はマツダ3に比べてちょっと高めになりますが、燃費重視の方が見るとこの価格差ってどう見えるんでしょうか。申し訳ないですが、このクルマにも興味がわかなくてコメントが思いつきません。

トヨタ プリウスPHV

同じく燃費のお化けです。個人的にはPHVの見た目は好きなので、プリウスもこっちに統一すればいいんじゃね?と勝手に思っています。装備系はほぼ満点ですが、車両価格がだいぶお高めです。なんとなくトヨタ車からは、下位モデルが上位モデルを上回ることは断じてまかりならぬ、というヒエラルキーみたいなものが感じられて感慨深いものがあります。

トヨタ マークX

2019年12月で生産終了が予告されているマークX。古いながらもよく頑張ってここまで来たなと思います。カムリに統合予定とのことですが、だったらカムリが出た時点で終了させればよかったんじゃなかろうかという気もします。サイズも一回り大きくて、駆動方式の異なるカムリだとさすがにスパッと切り替えられなかったんでしょうか。どっちかというとDセグメントの世界で比較されるべきかと思うので、今回は友情出演ぐらいの扱いにさせてください。

スバル インプレッサG4

安全装備には定評のあるスバル。当然インプレッサも例外ではありません。今回選択したグレードは少々非力ですが、逆に言えば一番下のグレードでも最高レベルの安全装備が選択可能ということで、かなりお買い得なモデルかと思います。パワートレインを強化したければ上位に選択肢はありますし、なんならWRX STIというハイパーモデルもあります。このあたりは最近のマツダにはない選択肢かと思います。

ホンダ インサイト

今回の比較では、燃費ではプリウスにはかなわず、価格はプリウスより1割ほど高い結果となりました。数字だけ見るとちょっと苦しい感じはしますが、i-MMDと呼ばれるホンダ独自の高性能なパワートレインが先進性を感じさせてくれます。一方、マツダ3と比較すると、装備はいくつか足りないところがあって価格は+100万円ほどアップするのがちょっと痛いところです。これだけ価格差があると、燃費だけで元を取るのはちょっときびしいんじゃないでしょうか?

ホンダ シビックセダン

インサイトからハイブリッドシステムを除いた廉価モデルといった印象です。性能的にアツいハッチバックと異なり、セダンは極めておとなしい雰囲気です。選択肢を増やすという意味ではシビックセダンの存在意義はあるのかもしれませんが、インサイトと統一した方が選ぶ側にとってはわかりやすいんじゃなかろうかという気もしました。つまり興味がありません。

ホンダ グレイス

シビックセダンもしくはインサイトを5ナンバーにした廉価版といった印象です。基本的に標準では先進装備は何もついていないので、オプションとして加えていくと多少価格は上がります。それでも元々の車体価格が安価なので、意外と商品力は高そうです。さらに燃費を求めるならハイブリッドグレードもあるので、選択肢の広さが存在価値なのかもしれません。こういうモデルがあると、ますますシビックセダンの存在意義がよくわからなくなってきます。マツダ3との比較以前に、ホンダのよくわからないラインナップが気になってなりません。

日産 シルフィ

余計なお世話かもしれませんが、売れているのか心配になるモデルです。2012/12にフルモデルチェンジをしてから特別仕様車がパラパラと出たくらいで、モデルチェンジをしたという情報が見つかりませんでした。今どきの先進安全装備などは全く装備されておらず、定価ベースだとホンダグレイスよりも高額です。きっとディーラーで相当な値引きが入るんでしょうけど。日産はこのセグメントで勝負をする気はないものと思っています。



さて、ようやく全モデル見てきましたが、ハッチバックと比べてやたらと選択肢が多いですね。特にトヨタとホンダは意味がわからないくらい多すぎます。新しいモデルの装備が充実しているのは当然ですが、乱暴に言ってしまうとどのモデルを選んでも一通り装備を揃えると、300万円前後の日本車と500万円前後の欧州車で2つのグループに分かれる以外は大差ない印象です。細かい装備でばらつきの出たのは以下の4点です。
  • ペダル踏み間違い時加速抑制装置
    • 基本的に日本車は装備あり、欧州車はなし。
  • 全方位モニター
    • 日本車はほとんど装備なし。欧州車は高額なオプション設定。
  • 高速道路渋滞時ハンズオフ走行
    • BMW3シリーズのみ装備
  • ヘッドアップディスプレイ
    • 選択できるモデルはほとんど無く、マツダ3とプリウス、アウディ、メルセデス・ベンツ Aクラス程度
あとは実際に試乗してみて、質感や乗り味で選ぶのでいいんじゃないでしょうか。個人的には、ジュリアと3代目S60が気になるところですが、実際買うとしたら値段でマツダ3を選んじゃうんだろうなというところです。



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